掃苔の會

三月二十四日(月)晴
會社を休み八時半家を出で一如庵に赴く。十時半より尺八稽古。其の後神先生と鶴巻町キヤトル・フオンテーヌにて午餐。更に倶に早稲田より都電にて雑司ヶ谷に到る。文人墨客の墓を廻る第二囘掃苔の會にて、待合せの都電停留所脇に参ずる者計五名。早速雑司ヶ谷墓地に入り、荷風先生墓前にて大和樂及び紫鈴法を献奏。其の後成島柳北先生、泉鏡花先生、小泉八雲先生、夏目漱石先生、竹久夢二先生、大町桂月先生、窪田空穂先生、ケーベル博士等の墓を訪ね合掌。
荷風先生
成島柳北先生
漱石先生
夢二
其の後地下鐡雑司ケ谷まで歩き、澁谷経由青山一丁目に降り、徒歩青山霊園に入る。雑司ケ谷に比しても此方は広大にして探墓は中々難しきものあり。まづ探し當てたるは宮島詠士先生の墓にて、其処で再び大和樂を献奏す。さらに勝小吉他勝家(但し海舟以後を除く)の墓、副島種臣、長與専齋、頭山満犬養毅大久保利通等の墓を見る。維新後の政治家外交官内務官僚の墓の多きを知る。番地を調べて來なければ到底行き着くことの不可能と思へる程の広さなり。五時近くなり流石に風の少し冷たくなりたれば、タクシーに分乘して澁谷ハチ公前に集合し、道玄坂焼鳥の森本に入る。七時半出でて驛前にて別れ、余はS先輩とバーに行き更に呑む。九時過ぎS先輩と別れ歸路に就く。少々酒を過ごす。十時半過ぎ歸宅。十一時就寝。
宮島詠士先生
専齋先生
副島蒼海先生