妄想修業

三月十日(月)晴
會社は樂しいことばかりで仕事は樂。ありがたい。
四人のお氣に入り娘たちは、各々余にとりて違ふタイプの存在である。ひとりは自分が高校二年生で彼女がクラスの違ふ学園のマドンナのやうな存在。高嶺の花だが、何かのきつかけで普通の會話が出來るだけで嬉しい。まうひとりは自分が高一の時の三年の優しい憧れの先輩といつた感じ。笑顔で何か世話でも焼いて貰へたら天にも昇る氣分である。これらはまあ、男子校に通つた者が終生抱き續ける憧れの形であらう。三人目は自分が今の年齢より少し老けた際の、友達のやうに仲の良い父娘のやうな関係か。四人目は今より十歳ばかり若い頃に愛人として持てたら最高だつただらうにと思ふタイプ。かうした妄想とともに彼女たちと仕事が出來るのだから樂しくない訳がないのである。
歸宅後一時間半尺八稽古。二尺一寸で大和樂、布袋軒鈴慕、根笹派虚空、三谷清覧、無住心曲。二尺三寸管で瀧落、松巌軒鈴慕を吹く。最後に試し吹きした煤竹の一尺八寸も思ひの他音が出る。
寒さ續き今日は寒気がして喉が少し痛むので、葛根湯を飲んで早めに寝ることにする。