吉祥寺六義園競馬香

三月九日(日)晴
着物にて家人と外出。まず本駒込にて地下鐡を降り徒歩吉祥寺に赴く。甲斐荘楠香及び甲斐荘家の墓に詣づ。楠香の妻彦も此処に葬られてをり、其の短い生涯に興味を持ち調べてゐるので其の報告の意味があつた。其れから六義園に行き園内散策。ずつと訪れたいと思ひながら果たせずにゐたのであるが、流石に名園と呼ばれるだけあつて見事な景観と工夫が随所にあり樂しむ事が出來た。池の中にある蓬莱島が三年前の震災で崩れて松もなくなり、此れから復旧工事を為すといふ。駒込から山手線にて原宿に到り、徒歩妙喜庵に之く。三時過ぎより競馬香を為す。盤物といふ遊戯性の高い組香で、ひとつ聞く毎に答へが分かる事もあつて面白きもの也。初心者等にも入りやすく樂しく聞ける香ならむか。但し競馬香の盤や駒武者人形等は高価なものなれば、生半には用意すべくにもあらず。五時半前妙喜庵を辞して七時過ぎ歸宅。約一時間二尺一寸を吹く。

【競馬香の盤】

【差札と呼ばれる、各自が答えを示す札】




六義園