如道忌

三月二日(日)陰後晴
奈良から東福寺に移動し、十時前明暗寺に入る。坐禅衣に着替へ十一時より如道忌献奏始まる。余は八番目に流し鈴慕を吹く。音は出てゐたが、曙調子のH氏とは其の日の朝一度合せただけなので所々テムポが乱れて今一つの演奏となつた。また、最後の布袋軒鈴慕も連管に参加。こちらは音も出て氣持ち良く吹けた。全十七曲が思ひの他早く終り、再び着替へてから懇親會に臨む。先生方の挨拶に聞くべき話多し。特に昨年脳出血により如道忌を欠席された絃方のF先生の恢復の過程とその中で達せられた藝の境地の話は、鬼気迫る演奏と倶に忘れ難いものとなつた。五時過ぎ散會し、余は如覚等と京都驛北口の戸張屋なる居酒屋に行き先輩諸兄と呑む。九時頃大阪に出掛けてゐた家人が合流するも程なくして散會となり、如覚と三人で驛前の喫茶店で一茶の後宿に戻る。