懐かしいもの・こと

二月二十七日(土)晴
十一時より道場で尺八稽古。先生より十月の某演奏會での演奏を打診さる。前向きに検討することにす。晝餉は夏目坂を上つて中村屋で地鶏南蛮蕎麦を食す。一時より學生會舘に赴き、竹友會現役學生の就職活動を支援する懇談會のやうなものに出席。邦樂を續けたいが爲、或は地元を離れたくがない爲に就職後の轉勤を厭ふ學生や就職間もない人々の多いのに心底驚く。余も就職した當時はかなり世の中を舐めてゐたと思ふが、その考へ方は随分甘いのではないかと思ふ。まあ、余も體驗含め發言して他のOBからも色々な話が出たので、學生にとつて様々な意見を聞く機會になつたとしたら幸ひである。中で、先輩のひとりが「とらばーゆ」といふ言葉を使ひ、轉職といふ意味でその言葉が使われてゐたことを久し振りに思ひ出して懐かしい氣がした。學生は理解出來たのであらうか。三時半前學生會舘を後にして早稲田驛に向け歩いてゐると、何処かで嗅いだことのある香水の匂ひがする。すぐに氣がついた。何とポワゾンであつた。懐かしいと言ふか、實に久し振りの邂逅であつた。氣分は八十年代の一日であつた。