十月十九日陰 

朝晩寒し。昨夜夜坐をしたせゐかわりと良く眠れ、六時に起床し読書。末木文美士『近代日本と仏教』を読む。禅宗について書かれた論文だけ拾ひ読みをするつもりだつた本だが面白いので通読してゐる。丸山真男の仏教や日本の基層に関する諸論説への考察は、丸山の『忠誠と反逆』を読んでゐた時余が感じた違和感の要因を見事に解き明かしてくれてをり、その他の論説も成程と納得させられる事多々有り、仏教や日本思想に対する余の関心の持ち方に今のところ最も近い学者のやうである。入浴・朝食の後出勤。駅までの道にある萩の花既に散り始む。最近割りに仕事が忙しく疲労を感ず。昼休みに華道清源流の会報『花笑』を作成。家元としての久しぶりの活動也。定時退社、帰宅後嶺庵で尺八練習。夕食後また『近代日本と仏教』を読む。さして変化のない日々である。