外苑の公孫樹並木

十一月二十四日(水)晴
午前出社、午後半休を取つて青山に出向く。新規に香料使用を検討中の某社との仕事絡みの打合せの為の外出なるも、上司の無理解は目に見えてゐるためまずは休みをとつて行くもの也。今回は同社経営者を知る方より余に直接話があり、先ずは会つて話を聞くべしとの指示を受く。従つて、まだ如何なる話とも定かならず、かつ既存の得意先でも売上に結びつくことの確実な案件にもあらざれば、上司に相談しても嫌味とともに否定的な見解を示されるは必定なれば、独断にて敢て一人で先方と面会す。伺ひし話は興味あるものにて余は参加協力したく思ふものの、融通の利かぬ会社なれば困難やも知れず社に持ち帰つて相談の上返答する旨伝へて辞す。直ちに営業部長に電話を入れ相談したき事ありと言ふに、彼も出先にて夕刻より時間が取れるとの事にて、品川にて面談することを約して切る。まだ時間の余りたれば余は神宮外苑から丁度黄葉の美しい公孫樹並木を経て青山通りまで秋の午後の散策を愉しみ、其の儘渋谷まで歩く。途中宮坂上の古本屋二軒覗くも得るものなし。品川にて心安き同期の営業部長に仔細を話し善後策を協議、まず事業部長に相談する事に決す。もし事業部長の許諾を得ば、余の直接の上司もこれを拒めぬと踏んでの策也。軽い食事の後帰宅。