大阪の友人から単一電池が届いた。これでアメリカで買つたMAG-LITEの懐中電灯が使へるやうになり、夜間の停電に威力を発揮することにならう。有り難い。
また、昨日はパリ時代同僚だつたフランス人調香師の友人から、部屋は空いてゐるからいつでも避難して来いといふメールを貰つた。フランスはとにかく福島原発の事故を重大視してゐるやうだから、さうした報道を見て心配してくれたものであらう。此れもまた有り難い話である。勿論わたしに日本を離れるつもりはないので、ただ気持ちに感謝する旨の返事を返しただけである。
ガソリンがないこともあり、今年は彼岸の墓参りを中止することを両親と話して決めた。灯油も米も卵も買へないが、其れで死ぬ訳ではないから状況が好転するまで待たうと思ふ。今日会社帰りにレトルトのカレーをひとつだけ買つた。此の週末の連休に一度くらゐカレーでも食べやうと思つたからだ。明日は夜十時までの停電が予定されてゐる。実施されるかどうかは不明だが、其れに備へてやるべきことは色々ある。寒さを凌ぐこと、食べる為に時間と労力を割くこと…「被災地に比べれば」といふ言ひ方はしたくないが、とにかくさうしてひとりで生きてゆく。いや、ひとりではない。わたしは実在せず、縁起によつて生かされてゐるに過ぎない。被災者であれ誰であれ、諸縁で結ばれて共に生きてゐるのである。さう思へば何もかもが有り難く、生きとし生けるものと喜びも悲しみも共に分かち合へる気がしてくる。今、人の為にわたしに何ができるだらう。