檻のある家

四月五日(火)晴
Nさんといふもの書きをしてゐる女性と一緒に、彼女の知り合ひの家に向ふ。下町の路地を抜けて坂を登ると高台の見晴らしの良い家に着いた。かなり裕福さうな家だが、玄関から迷路のやうな廊下を抜けてリビングに出た。主人らしい恰幅のいい六十前の男性が居て、飼つてゐるジヤガーを出して見せると云ふ。わたしは怖がるがすでに檻は開かれてゐて、眠さうに出て来てわたしに纏はりつくので恐怖に動けなくなつてしまふ。主人はジヤガーが小さいうちにじやれあひの喧嘩の中で飼主が常に勝者として振舞ふことによつて従順になるのだと説明してくれるが、わたしは何とか逃れてもう帰ると言ふ。庭でNさんや此の家の主人や息子たちは庭でバーベキユーを始めるが、挨拶をして家を出て坂を降り始めたところで雨が降り始める。わたしは坂の下に見えたシヨツピングセンターのやうでもあり体育館のやうでもある建物の中に逃げ込むが、中でも雨が降つてゐて、已む無く建物の外壁の上が庇になつてゐるところで雨をよけてゐると、目の前に会社の同僚のМやKがユニフオーム姿でやはり雨宿りをしてゐる。サツカーかと聞くと、バスケツトチームだと言ふ。わたしはジヤガーとバスケツトでつながつたなと思ひながら、どういふ関連性があるのかよくわからずに雨の上がるのを待つてゐた。