老後の心配

五月三十一日(火)陰時々日差し。夜寒し。
酒を飲み過ぎた翌日の典型的な状態。眠気と全身の疲労感、倦怠感。昼にはたくさん食べる気にならずスープものが欲しくなつて拉麺にするが、夕方から猛烈な空腹を感じる。仕事は何とかこなすが口数が極端に少なく、しかも喉はガラガラで声が擦れる。
帰りに駅ビルに寄つてサングラスを受け取る。昨日買つて鼻梁にあたるパツドの高さの調整をして貰つてゐたのである。久しぶりに黒のセルロイドのフレームのもの。サングラスは好きでたくさん持つてゐるのに、それでもまた欲しくなる。一年近い禁欲生活の後だけに、物欲の抑制が効かなくなつてゐる。その間は本を買ふくらゐで他は殆ど何も欲しいと思はなかつたのに、今や三十代の独身サラリーマンのやうに、衣類や身の回りのもので欲しいものだらけである。今日は茶色の革の鞄も買つた。黒の鞄も欲しいし、靴も欲しい。シヤツも欲しいし、財布やアクセサリーも欲しくなつた。買物でストレス発散といふこともあるのだらう。これでテレビでコマーシアルなど見てゐたらえらいことになると思ふから、それだけは何とか堪へてゐる。消費の落ち込みが言はれる昨今の世情と全く逆行してゐる訳で、我ながら呆れる他はない。今に始まつた話ではないが、貯金や貯蓄といふものが結果として全く出来ない質なのである。老後が心配である。