壮行会

五月三十日(月)陰
夜、職場の壮行会があつた。来週亜米利加に調香師修行に出る若い同僚女性を送り出す会である。一年間の予定ださうだ。わたしが米州での勤務から戻つた年に入社してゐるから、それ程若い訳ではいが、希望に満ちて旅立つ人を送るといふのは気持ちのよいものだ。わたしにとつては大勢のゐる場で酒を飲むのが久しぶりといふこともあつて、楽しい夜であつた。相変はらず調子に乗つてよく呑みよく喋り、くだらないことを連発しては笑ひを取ることに熱中した。ゴリラの真似をして胸を叩くは、自虐ネタ、駄洒落から言葉あそび、果てはトゥーランドットのオペラ風歌唱まで、全くのお調子者である。呑むと余計に、場の中心でないとゐられぬ質なのである。若い女性と話したり笑ひ声を聞くとなんだかうきうきした心持になるのは、完全なおじさんの証拠であらう。
十一時四十五分帰宅、すぐに就寝するも二時半に起きて胃薬を飲む。イタリア料理だつたこともあり胸焼け。酔つても結局夜中に目が冴えてしまふのは同じである。