サンカント・ブルー

また深夜に起き出してPCを開き、興味もないままウエツブを覗き、シングル・モルトをぐびりと飲む。此のところ十時間寝たり、二時間寝て眠れなくなつてしまつたりと不規則な睡眠が続いてゐる。何が原因かは自分ではわかつてゐる。わかつてゐてもどうしやうもないことなのである。最近は睡眠不足で頭が少しぼおつとしてゐるのが寧ろ普通の状態になつてしまつた。其の方が余計なことを考へないですむので、此れも一種の防御反応なのかも知れぬ。
頑張つて来たつもりだが、ぎりぎりかなと思ふことがある。働けること、給料を貰へること、家があつて食べるのに困ることはないこと…。とても有難いことだと思ふ。ただ、癒せぬ傷といふものはある。癌といふ訳でも、生活に何か支障が出るやうな障害がある訳ではない。ほぼ健全で、不自由のない生活である。借金がなければ、恐らく給料は使ひ切れぬのではないかとさへ思ふ。何が不満なのだと嗤はれて然るべきであらう。
思ひつきだが、誰しも五十歳を直前にすると気分が沈むのではないか。其れを「サンカント・ブルー」と名づけたらどうだらう。ちよつと格好いい響きではないか。サンカント、フランス語で五十である。単純なわたしは、サンカント・ブルーが何だか気に入つて少し機嫌がよくなる。明日は何か青いものを身につけやうか。少し酔ひも回つて来たやうだ。そろそろベツドに戻ることにしやう。〔五月三十日二時十四分〕