水滴ひとつ

六月五日(日)晴後陰

【左; パリ郊外ブロカントの様子】
目が覚めたらすでに九時であつた。急ぎ掃除洗濯、朝食入浴の後車で藤沢遊行寺の骨董市に行く。銅製の船の形をした水滴が気になつて裏を見ると五千円とある。まずはざつと全体を見て廻り、他に目ぼしいものがないので再び戻つて手に取つて見てゐると店の人が「黒ずんではゐませんが割と古いものですよ」と話しかけてくる。わたしは先日フランスでブロカントを経験することで安く買ふ為のかけ引きを少しは心得たつもりなので、ふーんといふ顔をしながら徐に「四になりませんか」と聞いてみた。ちよつと考へを巡らせたやうだがすぐに笑顔で「いいですよ」との答へ。決して安くはないが気に入つたものを少しでも安く買へて満足である。伝馬船に桧皮葺の屋根の部分だけ乗せた平底の形で、屋形船のやうにも見えるが荷物を運ぶ舟と思はれる。舟腹に波や水草が浮き彫りにされてゐて中々仕事が細かい。全くの当てずつぽうだが、明治の終りか大正くらゐのものではないか。これで水滴は四つ目だが、陶器より金工のものを好むやうだ。小さいものだから机回りに置いて楽しめる。
午後は読書、尺八練習の後ジムに行く。先週食べすぎの感があり、有酸素運動系を久しぶりにみつちりやる。バイクとクロスカントリーのマシンで合計約一時間。よく寝たせゐもあるが、何といふか、体調は悪くない。眩暈や頭痛もいつの間にかなくなつた。やはり暑くなつて来ると調子が戻るのであらう。寒いと泣きべその顔になるが、あまりにも暑いとあははと笑つてしまふ。この違ひは大きいやうに思ふ。
六月から七月にかけて週末は大忙しで、丸一日家に居られるのは今日が最後である。演奏会やら結婚披露宴、ОB会其の他諸々あつて、しかも平日も週に一度は飲み会の予定が入つてゐる。