天気屋

六月二十九日(水)晴、暑し
梅雨の最中とは思へぬ見事な夏の暑さである。暑くても、朝から晴れてゐるとわたしは気分がいい。先日気がついたのだが、朝の天気が最も重要なのである。朝晴れてさへゐれば、其の後雲らうが雨が降らうが其の日は一日元気で前向きでゐられる。逆に朝どんよりと曇つてゐたりすると、丸一日やる気が上らず、休みの日など下手すると無為に一日を過ごしてしまふ事が多い。自己嫌悪とは曇り空のやうなものであり、空元気とは早朝の快晴のことなのであらう。ただし、明け方の雨の後朝が晴れてゐても、何となく気が乗らない。自分でも其の訳はわからない。むしろ、夜から降り続いた雨が小雨のまま朝も降つてゐる時は、晴れにはない心の落ち着きを感じる気がして嫌ひではない。どちらにしてもわたしの気分が常に天気に左右されてゐる事が、この歳になつてやつとわかつたのである。
我が家には唯一リビングにエアコンがあるが、今年はまだつけてゐない。節電の為に我慢するつもりはないが、つけなくても夜は十分涼しいのではないか。昨日も夜は丁度いい気温でよく眠れたし、今夜も気持ちよく眠れさうである。やはり、寒いとそれだけで気分も健康も萎縮してしまふ質なのであらう。夏はいい。ビールはうまいし、何より元気でゐられる。わたしはいまだかつて夏バテで食欲がないといふやうなことになつた例がない。暑いのが好きとは言へないが、寒い時のことを思へば断然ましだと思へるのである。