雨の中のフジタ

七月三十一日(日)雨
昨日のフジコに続き今日はフジタを見に箱根にあるポーラ美術館に車で往く。雨は箱根山中で一際強く降つてゐた。
フジタ、すなはち藤田嗣治の絵を一度にこれだけ観るのは初めてであるが、さすがに上手い画家だと思ふ。日本の女を風俗画風に描いた挿画など、色気も今風の美しさもあつて、もつと描いて欲しかつたと思はせるほどの出来である。筋金入りのエロティックな感性と同時に、案外ユーモアや描くことの喜びに満ちた作品にも触れ、その人となりに対する印象が変化したやうに思ふ。展示された作品の数もそこそこあつて楽しめたが、展示作品の目録が用意されてゐないのは残念であつた。
企画展以外の所蔵品の展示もそれなりに充実してをり、日本画もあつて楽しめる。化粧道具のコーナーでは日本の江戸期の紅入れの箱などに、小箱好きのN子と余には羨ましいほどの佳品があつた。一茶の後帰途に就くも東名渋滞のため帰宅まで結構時間が掛る。