八朔

八月朔日(月)陰
晴れた青空とぎらつく太陽が恋しいのはわたしだけではあるまい。煮え切らない夏のまま八月に入つてしまつた。

太つた人はたいてい歩くのが遅い。比較的歩くのが速い方のわたしは、駅構内や改札を抜けたあたりの人ごみではたくさんの人を追い抜かねばならないのだが、太つた人たちの後ろにつくと追い越せないことがある。からだに幅がある上に手を斜め横に広げて振つて歩くため左右にに隙間が出来ないからである。何であんなになるのかと思つたら、要するに手を肩から垂直に下におろせないからで、腕のつけ根や腋のあたりに脂肪がつきすぎてゐてまつすぐ下に下ろせない、つまり「気をつけ」をしてもペンギンのやうに手の先と横腹の間に空間が出来てしまふためなのであつた。そして、体重による加速度がつくのか腕の振れ方も一歩進めるごとにぶらぶらと大きく動く。抜くタイミングを探してすぐ後ろにつくと、この季節、汗ばんだTシヤツから雑巾のやうな匂ひが漂ふこともままあるので少し距離を置くから余計に中々追い抜けないのである。
別に肥満の人を批難するつもりもないし、仕方のないことだと思ふ。人のいい太つた人達もたくさんゐる。ただ、やはりあの歩き方は、決して格好いいものではないと思ふのである。

大分時間が経つてしまつたが、及川光博と壇れいの結婚の報には驚いた。東山紀之木村佳乃の場合は、似つかはしいと思へて自然と納得できたのだが、この二人は自分にとつて余りにも意外な組合せだつたからである。わたしは及川光博が大好きなのである。CDも何枚か持つてゐるし、ああいふ顔が一番格好いいと思へるのだ。それに対し、金麦のCMの時から壇の方は好感を持てずにゐた。それに、曲の感じから、及川はもう少しロリ系の若い娘が好みなのではないかと勝手に思つてゐたから、大人の雰囲気を持つ壇が意外だつたのである。しかしまあ、美男美女には違ひない。ミツチーが選んだ女性なのだと思へばこの先少しは好きになれるかも知れない。