トランキル

八月四日(木)晴
青い空とそこそこ暑い朝、心も少し晴れて出勤する途中メールを受け取る。日乘を見て心配してくれた、歳の離れた妹のやうな存在の女性からである。忝くありがたい。気持ちのブレを小さくして毎日を送れたらとつくづく思ふ。
勤務時間中は忙しく集中して働き、昼休みは昼寝をし、ほぼ定時に退社して嶺庵で尺八を吹く。気持ちが少し鎮まるやうな気がする。思へば尺八も坐禅も、穏やかな生活を送るために自分の選び取つたものだつたのである。香道も書も同じである。それがいつの間にか忘れられてをかしくなる。初心を忘れることに於いては人後に落ちない。
夕食後ジムに行く。結局週に一度しか行けてゐない。帰宅後シヤワーを浴び、友人から送られて来たメールマガジンを読む。原田芳雄の死を悼む文章が中にあつて、其の友人は原田芳雄に自分の名前で呼びかけられたことがあり、かつ肩を組まれて写る写真まで残つてゐるのだとある。羨ましい限りである。あの声が、またたまらない魅力であつたのだ。