お召

十月二日(日)晴
十時頃友人のM氏が荷台の広い車で来る。ひとり掛けのソフア、簡易ベツド、ゴルフバツグ、折畳椅子などをM氏の車と余の車に分けて積み、二台で粗大ゴミ引き取り所まで運ぶ。一度家に戻り昼食を三人で倶にす。一時過ぎM氏去り、余とN子は車にて成瀬に向かふ。途中渋滞があり三時前に着くに、すでに呉服商越後屋さんが待ち受け、先日直しに出した大島紬の着物と、次に作る予定のお召の反物を示す。幾つか見る中では銀色に近いグレーのものが抜群に格好よく、羽織と合せて仕立て代込でももとじの反物より遙かに安い。いずれもとじでこれと言つたお気に入りの着物を仕立てて貰ひたいとは思ふものの、今はとにかく越後屋さんに任せることにする。しかも、或る客が誂へた袴の寸法が小さすぎて納められずに残つてゐるものが余に丁度良いから安く譲つてくれるといふ。満足した気分で越後屋さんを送り出してから、お茶の稽古。茶室の出入りや畳内の足の運び方を習ふ。其の後夕食までの時間を使ひN子と町田に出て先日購入した結婚指輪が出来てきたので取りに行く。お茶の道具も見るが何も買はず。N子の実家に戻り夕食をとり、岳母が先日故郷の函館に戻つた際に買つて来た土産の海産物をどつさり貰つて帰る。何かと忙しい一日であつた。