銀座の和服

十月朔日(土)晴
十一時より一如庵にて尺八稽古。一尺八寸管を持参し松風裏調子を吹く。其の後銀座に出てもとじといふ男着物の専門店に赴く。ストールを探すつもりなるも、季節まだ早く入荷せずと云ふ。角袖やお召の反物などを見せて貰ふも高いものばかりでとても買へさうにない。ただ、いろいろ質問もして勉強になつた。小物などのセールやフエアをメールマガジンで知らせてくれるといふので簡単な登録をなす。さらに、若い店員が、時間があるなら近くで沖縄物産展が開かれてゐて良い反物も出てゐるからと連れて行つてくれる。会場で店主を紹介さる。物産展は伝統工芸の粋といふべき素晴らしいものばかりで、中でも宮古上布はその風合ひと精緻な文様に驚嘆す。聞けば三百万円以上するといふ。技術の継承が難しく今や途絶の危機にあり、今買はなければ二度と買へない、借金してでも求めるべきなどと言はれてもとても手の出せる金額ではない。会場では良い色柄のシヨールを見つけて購ひ、其の後松屋など覗いてから帰宅。夕方まで掃除・片付け。夜になりてN子が出張先の岸和田から直接家に来る。岸和田にて業者向けの骨董オークシヨンに連れて行つて貰つたとのことで、其の様子を面白く聞く。N子はその場で乾菓子盆を落手。見るに値段より遙かに好さげに見える佳品也。