大晦

十二月三十一日(土)陰
九時前起床。朝食に昨日岳母より頂戴せし露西亜産鮭を食するに極めて美味なり。蓋し函館育ちで水産会社で船に乗る岳父に嫁ぎし岳母は魚の目利きなれば、其の選に間違ひはなきもの也。昼餉まで掃除。中食後N子といたち川沿ひの遊歩道を上郷の辺りまで約一時間散歩。帰宅後薄茶を点て嶺庵にて百合根きんとんを賞味。極めて美味。其の儘嶺庵にてお初香の稽古をN子とする。墨を磨り線香を焚いて執筆の練習。年の瀬とは思へぬ静かな時間である。序にお年玉の名入れを毛筆でやり、さらに香木を香包に分け銘を書いた紙片を貼るなどして香木の整理。その他、やらうと思つてゐて中々出来なかつた細々としたことをやる。そのうち書の興も乗つて来て、香木の銘由来の記を書く気になり、某氏に頂戴した香木を松籟と命名した由来を認める。半日嶺庵にて香木や和紙や筆や墨・硯に囲まれ、文房諸具を弄ぶ至福の時間である。夕刻入浴。年越蕎麦を食して就寝。