雪景色

十二月十四日(土)雪後晴
朝ホテルの食堂で朝餉をとりつつ窓外の雪景色を樂しむ。山形新幹線にて歸京する車中にても引續き雪景を賞す。枯れ木の枝に樹氷の如くに降りかかる雪、白一面に埋もれた山々、松の枝に雪積り僅かに撓む姿など風情あり。また、白一色の野原に柿の木の立ちて、落ち殘りたる柿の実のオレンジ色のみ覗く様子など可憐なり。山間に掛れば眼下の雪原に一筋の川の水清らに冷たく流れる様も見え、實に見所多き雪景と言ふべし。しかしながら福島に近づくにつれ山や野原に黒き部分が増え、雪も泥んこめいて醜悪なものとなる。余は福島に好感情を持たず。此れは原発事故とは無関係にて、其れ以前に嫌な思ひ出のあればなり。福島に着く前には景色を眺めるのを止め讀書に轉じ、宇野浩二を讀む。極めて面白し。
歸京後其の足で町田に向かひ午後茶の湯の稽古を為し夜になつて歸宅す。家人夕方より俄かに體調を崩す。