寮の風呂

四月七日(月)陰
夢でよく寮の風呂が出て來る。番臺のある風呂屋風のこともあり、温泉と思はれるやうな、廊下から階段を下りて行く大浴場のこともある。實際に余は會社の三箇所の獨身寮に居た事があり、各々大きな共同風呂のスタイルであつた。その記憶からなのか、夢によく見るのである。浴槽に湯がなかつたり、水だつたり、脱衣場に空きが見つからなかつたりといふ事が多く、ゆつたりと湯に浸かって心地よいといふやうな夢は殆どない。それでも何度か出て來る幾つかの風呂の情景はよく記憶に殘つてゐる。だから、今朝も修學旅行に行く朝なのに寮の風呂に入つた事は、前後の経緯は忘れてしまつたのに其処だけ覚えてゐたのである。