ネクタイとカード

十一月八日(土)陰時々小雨
廃棄第二彈。最早滅多にすることのなくなつたネクタイを五十本程捨てる。古い物だと三十年近く前に買つたネクタイで、多くは仏蘭西駐在中に求めたもの。昔は普通にネクタイをしてゐたし、好きで結構買つてゐたのである。其れでも氣に入つたもの三十本ばかりは殘つた。年に二三回しか締める機會はないといふのに。
其れからカードも大量に捨てた。B6サイズで二つ孔あきのカードで、文献からのメモや執筆のアイデアなどを書いて置いたもの。テーマ別にバインダーに纏められていたのを殆ど捨てる。大學生時代のものから本を書くために書き溜めたものまで多種多様だが、本にしてしまつたものは最早用はないし、既に興味を失つてしまつたテーマも少なくないからである。今後何かを書かうとしたとしても、かうしたカードを見返す可能性は低い。其れでも鏡關連のものと「死臭論」のために用意したカードは捨てられずに殘すことにした。一時、「知的生活」のためにカードを活用することが流行してゐたのである。勿論個人がコンピユーターを所有して駆使する時代がやつて來るとは思ひもよらぬ時代の話である。
又、人から貰つた着物の類も此の際捨てる事にした。寸法が合はないし、仕立て直す程ではないし、余程氣に入らない限り偶に着物を着る機會にさうしたものを着る事は絶體にないと悟つたからである。家人も同じく廃棄を進めてゐて、兎に角家からモノを減らしたい思ひが強い。