體に惡い

十二月二十四日(水)晴
或る人に余は世間で體に良いとされてゐることをすると大抵逆の作用を受ける生まれつきだと言はれたことがある。元々運が良い方ではない反面惡運の強い方だとは思つてゐたが、其れを聞いて成程と納得した。思ひ當たる節が多かつたからである。健康食品で具合が惡くなることがしばしばあるし、サプリメントではよく腹を壊す。先日も家内にせがまれて近くの天然温泉なる浴場に行つたのだが、途端に體調が惡くなつてしまつた。温泉に良い思ひ出はあまりない。温まり過ぎて夜寝てゐる時暑くなつて布団を撥ね除けて却つて風邪を引くことが少なくない。其の日もいつもよりゆつくり湯に浸かつてゐたら、背中から肩がいつもにも増して硬くなつてしまひ、夜中に家内に揉んで貰はねばならない程であつた。これでは何の為に湯に行つたのか分からない。マツサージの類も同様で、人間を信じてゐない余はさういふ際に却つて全身を強張らせてしまふので、後でいつもより痛みが増す事の方が多い。天邪鬼とは昔からよく言はれたが、かうまで世間並に逆行してゐると自分でも何か淺ましい氣がしてくる。くよくよ考へるのは體に良くないといはれるから、くよくよ考へてゐた方が却つて自分には良いのであらうか。