茶會

六月二十八日(日)晴
絽の御召を着て家人と倶に八時前家を出で、電車で赤坂見附まで往き徒歩ホテル・ニユーオオタニに到る。九時半よりメインアーケードの宴会場にて煎茶道東阿部流五世家元襲名二十周年記念茶會に参席。六席ある中の五席に入り、三時過ぎ辞して赤坂にて遅い晝食の後歸路に就く。茶會自體は珍しき点前や道具立ての面白さもあり、茶菓の旨さもあつてそれなりに樂しく過ごせたが、會場が宴会場ではいくら室禮や掛け軸・盛り物等に凝つても趣きは尠いと言はねばなるまい。昨秋に行つた、京都萬福寺月見の茶會や枳殻邸での煎茶會とは比ぶべくもないが、せめて蕉雨園のやうな處で出來ればもつと良いのであらう。もつとも、實際問題として亭主にしても客にしても高齢化が甚だしいので座敷で正座は厳しいのかも知れない。さうなると、椅子席立禮席でそれなりの味はひのある會場など東京近邉にはないのかも知れない。普通に考へれば結婚披露宴の横で同じやうな部屋で茶會をやつてゐるのは異様としか言ひやうがないのであるが、家元の下の門人や關係者であらう客達は何の違和感も感じてゐないやうであつた。