カタログ

七月六日(月)雨
京都で古本屋をしてゐる小父さんの處で、IFFといふ香料會社のカタログを見てゐる。原料となる香料単品が載つてゐる筈なのだが、よく分からずにバーコードのやうなものがあるので其処をクリツクすればいいのかと思つて押すが、コンピユーターではないから勿論何も起こらない。すると、外の浅瀬の海に何百人といふ人々がほぼ等間隔に肩から上だけを出して並んでゐる。皆昔の潜水服のやうなものを付けてゐて、成程これがカタログだつたのかと気付く。確か1500種類ほど単品はある筈だから、それだけの人が海にゐるのである。私は従兄弟の二人と歌舞伎を觀に行くつもりだつたので、海の中の人たちをどうしたらいいのか途方に暮れ始めてゐた。