その後のパリ

十月二十二日(木)陰後雨
十七日にパリに戻ってからのことは会社の仕事でもあり詳細はここでは省く。ただ、ラグビーのワールドカップ、フランス対ニュージーランド戦を大勢で観て盛り上がったり、弓道香道も尺八も吹くフランス人と知り合ったりと、充実した日々を過ごした。その一方でパリは寒く、レストランは何もかもが高くて段々鬱々たる気分になって来たのも確かである。また、パリ美術学校、すなわちエコル・ド・ボザールに某教授を訪ねアトリエを幾つか見学出来たことは幸いであった。かつてすぐ近くに住んでいながら一度も足を踏み入れたことがなかったが、今回伝統あるキャンパスを見ることが出来た。その内実は予算がないのか老朽化が進み中々厳しいものがあるようである。先年東京藝大を見学したことがあったが、藝大の方が設備的には遥かに恵まれているように思われた。二十一日の最後の夜は、ひとりでカルティエ・ラタンのベトナム料理店でフォーを静かに食して終わった。何となく、パリと自分の関係が完結してしまい、もう二度と来ることはないような気がした。まあ、来月また来る予定はあるのだが。そして今日、タクシーでホテルから空港に移動し、昼過ぎの飛行機で日本に戻るのである。日本食が恋しく、20度を超える気温が懐かしくてならない。