水の縁

十一月二十五日(金)晴、寒し
私の勤務する研究所は周囲を池に囲まれた円形の建物である。ある化粧品会社のお偉方という老人が見学に来たので私が案内してその建物に通すと、突然建物がぐるぐると回りはじめる。勝手を知っているのか老人がレバーを操作してどんどん回転を速めている。私は回転で気持ち悪くなったので、止めてもらっていいですかと聞くが、面白がってさらに加速する始末である。ところが遠心力がつきすぎたのか老人だけ池に放り出されてしまう。老人が憎たらしくなった私はそばにあった箒でつついて沈めようとするが、老人は何と水中に潜ったまま背泳ぎを続けて浮かび上がらないまま逃げてしまう。しばらくするとその老人が、化粧品会社の重役とのことだがヤクザにしか見えない体格のいい初老の男とともに戻って来た。どなりこみに来たのである。私は社内の人間5〜6人とともに土下座をして詫びを入れてお引き取りを願う。やれやれと思うと同時に研究所長に大目玉を喰らうかと思っていたところ、今まで見かけたことのない所長は温厚そうに、その件には触れずに世間話を始める。私はやはりこの会社は大したものだと感心する。それから私は研究所内にあるジムの方に一人で行き、木箱が高く積まれた隙間を通って奥に行くとそこはプールに付属したシャワールームになっていて若い男女がシャワーを浴びている。私はとても爽快な気分になって、再び木箱の合間を抜けてプールにいこうとするが途中に縄暖簾が掛っていて、私はそれを片手で持ちあげて若い女の子たちを通らしてやる。その際にからだから滴が飛んで自分にかかって冷たいのだが、それが何だかうれしいのである。