ボールペン

三月二十三日(木)陰
會社の歸りに驛ビルの文具店に足を運びボールペンを購ふ。色々見たが多機能のもので舶來品でデザインと書き易さの兩立するものはなく、單機能でデザインも書き味も良いものは高い。結局國産品にした。パイロツトのリツジといふモデルで、黒赤青三色のボールペンとシヤープペンシルが使へて税抜き五千圓はリーゾナブルと言へるであらう。細身で輕すぎず重すぎず丁度良い重さで書き味は一番良かつた。最近までエマルジョンインクのゼブラ・スラリ・マルチタイプを使つてゐたのだが、インクのかすれが氣になり出したのと、近頃連続して格好良くて書き味の良いペンを持つてゐる人にペンを借りることがあつて、あんまり安つぽいペンを使つてゐるのが恥ずかしくなつて來たのである。万年筆は原稿を書くのに使ふ商賣道具だからそれなりの物を揃へてゐるが、携帯することの多いボールペンは今まで使ひやすさ重視で安いのしか持たずにゐたのである。今の仕事になつて書物や資料からノートを取ることが格段に増え、今まで使ってゐたものに不滿も感じ始めてゐたのでこの前銀座で探し始めたのだが、格好良いのは驚く程高くてしかも單機能だから諦めて國産のものに狙ひを定めて探したら良いものが見つかつたといふ譯である。しかも、知らぬ間に油性ボールペンのインクも進化してゐてとても書き易い。とは言へ小遣ひで買ふのだから此のくらゐの値段が精一杯である。リフィルも合計七本買つて6156圓。こんなものでも新しいモノを買ふのは嬉しい。多少なりとも氣分が晴れるのである。