夢のかけら

十一月二十日(月)晴
久しぶりに教室に戻ると懐かしい顔がならんでいた。わたしはいつもと違う角度だと言って教壇に立ち、ふざけて教師のような振る舞いをする。前の方の同級生は面白がって笑顔で見てくれているが、後ろの方の男がやって来てちょっと来いと言う。背の高い、整った顔だちの不良として知られている男である。ついて行くと、お前は仕事で何ひとつ成功しなかったではないか、あまりチャラチャラせずに、これからもっと精進しろと諭される。思いがけない言葉にわたしはしんみりと聞いている。
車を置いた場所がわからなくなって探しているうちにアルプスの山の中腹に着いた。ここは科学者村でたくさんの研究者が世界中から家族連れで集まっている。そこに住む何人かの日本人に知り合いがいて訪ねて行くと、奥さんが悲しそうな顔で山の尾根の方を指さす。そこには友人らしい男が恍惚とした表情で景色を眺めている。あまりに美しい景色に感動して、研究を擲ってずっとそうしているのだという。私は奥さんに別れを告げ歩いて行くと、ダム建設を指揮した日本人女性を特集した番組が流れている。きわめて強い意思とリーダーシップを感じさせる顔である。ダム工事の余波か歩道が迂回路になっていてそこを通ると、とてつもなく長いトレーラーが狭いカーブを曲がっていて、牽引された最後尾のトレーラーが一旦想像もつかない方角に曲がった後、見事にカーブを抜けて行くのを見る。それから私は坂を上ってやっと平地に出ると走り始める。前に元同僚のNも走っていて、何とか追い抜こうとするが中々追いつかない。途中で足がもつれているのに倒れないので、なんだ夢だったのか、確かに実際にはこんなに走れる訳はないなと思っている。
テレビで京都の天気予報をやっている。いつも通り御所南小学校が映っているなと思う(実際には御池中学の場所)。カメラがクローズアップして、私は御池通りを歩きはじめる。小学校は南大門のような大きな門の上に建てられていて、門の向こうには広小路が御所の方に通じているのが見える。私はそのまま東に向かい、寺町にある彦さんの菩提寺を訪れようとするがいつの間にか鴨川を越えてしまう。御池通りは拡張工事中で市電の線路が北側に敷設し直され、道幅は広くなったが工事のため一方通行になっている。再び鴨川を渡って寺の方をみるとだいぶ低いところにある駐車場の先が霞んでいて、日本酒の銘酒や高級な洋酒を楽しむ三つのコースがあり、どれも三万円くらいする。これに往復の交通費を加えて一人六万円だと思う。せっかくだからもう一泊して、そちらは安い宿でいいと思うが、考えてみるとふたりで十二万はいかにも高い。京都は嫌いになったのでやはり行かなくていいかとも思い始める。そこへ義妹夫婦が来て、これから病院にお見舞いに行くのだと言う。冷蔵庫に紙袋に包まれた高級な梨がいくつか入っているからそれでよければお見舞いに持って行ったらどうだと言うと、義弟だと思っていたのが森本レオで、冷蔵庫から梨を取り出したものの扉がちゃんと閉まっていないので、私は冷蔵庫ちゃんと閉めてと注意をするのであった。
テレビで女子バレーボールをやっている。手に汗にぎる接戦だったが最後に勢いづいた日本が韓国を破った。その後香港にも勝ったが、結局香港は二位に入り、優勝は肉野菜炒めという報道があり、私はなるほどと納得している。