自分で自分の本のレビューを書く人もゐるらしい

アマゾンのカスタマーレビューは、時々とても参考になるものがある。新聞の書評など内容をきちんと要約しないものが殆どだが、アマゾンではよく国語の試験の模範解答のやうに要旨がまとめられてゐるものを見かける。特に思想関連のものは、小まめに論旨を抽出してくれてゐて、購入しやうか迷つてゐる際の判断材料にはなる。アマゾンの場合他の人から評価されてゐるレビューは、たいていさうしたレジュメをした上で控へめな評価を加へたものが多い。其れは其れでちよつとだうかと思ふし、正当な批評・批判もアマゾンや出版社の作為によつて削除されるといふ嫌な噂も聞くから、アマゾンそのものを賛美する気はないが、要するに目的に合はせて書評の媒体を選んで読めばいいのだらう。匿名でなされるさうした書評は参考にはなるが、言つてゐることのすべてを信用するわけではないし、読み物として読んでゐるわけでもない。一方で、BOOK JAPANなどではプロに近い評者(レビュワー)が、多くは実名でレビューしてゐて、こちらの方は当然書評そのものに読み応へのあるものが多い。あの人の此の本についての書評を読みたいといふ場合もあつて、其れが我が意を得たりのものだつたりすると、読書の楽しみは倍増するといふものであらう。

夜、通信七〇号を書き継ぐ。