家元の一日

七時起床。朝食の後掃除洗濯。九時過ぎ近くのいたち川べりを歩み、芒や名も知らぬ秋草を刈り家に持ち帰る。其の後自転車にて図書館に行き四冊を借りる。神仏習合廃仏毀釈関連也。昼前駅まで歩み新入門のS氏を迎へ、駅前にて倶に昼食を取る。それから花屋にて竜胆、白菊、薔薇、吾亦紅、ダリアなど購ひて嶺庵まで歩く。午後清源流初伝の稽古。S氏には竜胆、白菊、吾亦紅にて瓶花を生けて貰ふ。三時に休憩を取り嶺庵にて一茶を喫し茶話の後、余は尺八を吹き聴かす。流し鈴慕と虚空を吹く。余は盛花二つと瓶花四つ程生ける。一つは芒を無造作に差し、屋上に置き十五夜月見の飾りとなす。二つは嶺庵床の間に香木と併せ文人調の飾りを為す。花と竹にて遊び尽したる午後を過しぬ。夜になりて屋上縁台より観月。雲も切れ秋冷に満月の光清か也。デジタル写真機にて撮影を試みるに肉眼より雲の白さ光りて面白ければ此処に寄す。