ご馳走・八幡神・稲門会

昨夜は会社のレクリエーシヨンなる催しがあり、茅ヶ崎車屋てふ日本料理店にて会食。年配組のテーブルなれば話も弾まず、余は酒も呑まざれば只食べるのみ。余りに豪勢なれば献立を下記に挙ぐ。

【温物】  蕪菁蒸し 焼き白子 生うに 吉野餡 山葵
【前菜】 数の子 蒸し鮑 諸胡瓜 松前漬オクラ このこ 山芋 昆布かご 銀杏 姑慈 白魚 百合根 松茸 蓮草 浸し菊花
【椀盛】 土瓶蒸し 鱧 松茸 はんぺん 海老 銀杏 三つ葉 酢橘
【造り】 旬の鮮魚
【強肴】 牛ヒレ肉野田焼 里芋 大黒占地 ズツキーニ アスパラ 万願寺
【焼物】 のどぐろ杉板焼 金平
【八寸】 栄螺香味焼 大車海老 はりはり大根酢漬 栗渋皮煮
【合肴】 毛がに
【小鍋煮物】 聖護院大根 とろ鮪 葱 壬生菜東寺巻 針柚子
【食事】 松茸御飯 汁 香の物
【水菓子】

酒は越の寒梅吟醸、久保田等が飲み放題で、お土産にちりめんじゃこの有馬煮桐箱入りが付く。松茸は一人都合二本くらゐ出たのではないか。満腹にて帰宅す。
今日十一月十三日は朝から上野の東京国立博物館に赴き「東大寺大仏」展を観る。国宝十点程見る。左程混雑せず、又展示物の数も多すぎず快適に観覧。中では八角燈篭透かし彫りの優美さと快慶作の「地蔵菩薩立像」並びに「僧形八幡神坐像」が一際目を引く。八幡神神仏習合の代表的な彫像にて、其の顔貌は正しく高倉健を彷彿とさせるものあり。又、後ろに回ると着した襦袢の如き衣の松の絵柄も色鮮やかで、鉄火肌の粋な姿である。


ユリノキと枝垂桜の見事な黄葉−東京国立博物館

開放中の本館後ろの庭園にて昼食を取り、散策の後早稲田に行く。大隈講堂横の生協カフエテリアにて三時より1985年卒業生の年次稲門会なるものの設立総会並びに懇親会也。卒業後二十五年を経て創立されたるものにて、余は昨年来尺八の稽古に早稲田に通ひ、学生時代の友人との交友復活もあれば、此れも何かの縁と参加したるものなり。然るに会場に殆ど見知りたる者なし。やつと見つけ出して話をし得る者僅かに三人のみ。抑々参加者250名程度なるも、本来同期卒業は八千人以上といふから率にして三パーセント強に過ぎず。在学中知己を得る者恐らく百名を越すことなからむを思へば、割合から言ふと丁度合致する数字也。校歌を斉唱して五時散会。一軒だけ古本屋に寄り、『大乗起信論』(岩波文庫・五百円)一冊を購ひて帰宅。