外人がぎよつとする日本のブランド

日本人には馴染みのある商品名でも、英語圏の外国人にはとても信じられないネーミングといふのはあるものである。勿論其の逆もあつて、日本語の片仮名表記にすると口にするのも憚られるやうな名前もたまにある。今日は前者を三つ。
まずは「カルピス」。「ピス」が入つてゐるやうな飲み物などとても飲めないといふわけだ。これは分かり易い。もうひとつ飲み物だと「ポカリスエツト」。スエツトは汗だから、あの濁つた液体が外国人には汗汁(?)に見えて飲めないらしい。其の名の意味・由来となると日本人でも分かりかねるが、たいていは「ポカリ」と言つて済ましてゐるから抵抗は少ないのかも知れない。三つ目は「ナイーブ」で、私はアメリカで此のブランドを見るや、目を伏せてどきまぎし始めた人を見たことがある。日本だと「繊細」のやうにポジティブな意味合ひを持つのだが、アメリカ英語では「お馬鹿さん」くらゐの、ちよつと足りない人や言動に使ふのが常だから、其れも理解できぬことではない。和製英語でなくても、わりに普通の単語が、日本でよく知られた意味とは少し違つた用ゐ方が通例であつたりすることも多い。日本人のよく知る意味で通じさせるには特殊な文脈を構成する必要があつて、普通に用ゐるとまるで通じないのである。会話の中なら言ひ換へれば意味は通じるが、ブランドや商品名だと、ちよつとした誤解が後を引くから注意が必要だ。英語を公用語にするやうな優良企業では、かういふ間違ひは犯さないのであらうが。