藁半紙

円卓のやうなものに何人もが集まつて座り、何ごとかを議論してゐる。見渡すと小学校の時の同級生や会社の同僚などが混ざつてゐるが皆大人の姿である。誰かが、「無理に白くする」ことについて批難を始めた。皆がそれに同調し、白いパスタや白いコピー紙などが槍玉にあげられる。そして誰もが昔ながらの藁半紙を賞賛し始め、眼鏡をかけた元秀才風の女性が、藁半紙で字を書くと字が上手くなると言ひだす。わたしはふと、父に藁半紙を千枚買つて貰つた時のことを思ひ出し、さういふつもりだつたのかと納得する。しかし、其の藁半紙には字を書いたのではなく、「鉄路」といふ名のガリ版刷りの鉄道マニアの為の雑誌を作るのに使つてしまつたのだが。