都市の左近

九月九日(金)晴。蒸暑さ戻る。
最近いい歳のおつさんが遥かに年の離れた、娘や孫のやうな若い女性を娶るニユースをよく目にする。と言つても大抵は芸能人や有名人であり、お金には不自由しない人たちである。昔から金や権力のある年寄りが若い娘に欲情してものにしやうとするのはよくあることで、何のことはない、これは要するに本妻のゐない妾と考へればいいのである。昔の妾、今年の差婚と言つてもいい。昔だつたら、金も地位もある男であれば妾のひとりやふたり囲ふのは当り前だつたであらう。老いて尚若い娘を求める気持ちは理解できなくもないが、今は妾といふ訳にも行かずに偶々配偶者のゐない年寄りが妾にするやうな歳若い女性と結婚できる訳だ。それとて財力や文字通りの「タレント」あつての話である。堅気の仕事をしてゐては、そんな僥倖に会ふことは稀であらう。ちなみにわたしの場合も年の差婚ではない。年下ではあるが一周りも違はないから同世代と言つてよいだらう。妾を持つほどの甲斐性はないのである。