棚吊り

十月三十日(日)晴後雨
午前中ひとりで藤沢有鄰堂に赴き、注文してゐた表札を受け取つて帰る。備前焼に嶺庵の名と名前を入れたもので、黒の隷書の書体は思つた以上に悪くない。帰宅して午後片付けを進め、ほぼ終了。掃除をしてからN子と車でホームセンターに行く。洗面所の収納が足りず、棚を吊ることにしたのである。表札を取り付けるための接着剤なども購入。さらに表札をつける玄関脇のモルタル壁を平面にするためのグラインダーまで購ふ。夕方家に戻り、雨のため表札は諦め、洗面所の棚吊りを開始。大工の息子ながら決して器用な方ではない余にとりては気の重い日曜大工だが、思ひの他上手に仕上り、すつきりと収納も出来てN子も大喜びである。頼れるお父さんになつた気分で、片付いた居間でビールを飲み饒舌になる。夕食後は嶺庵に桑小卓の茶道具を揃へ三日に開く嶺庵茶話会に向けた室礼(しつらひ)を整へる。当初考へてゐた室礼では変だと岳母から指摘され、少々工夫が必要になつたのだが、衝立のお陰で狭い嶺庵を最大限に使へるやうになつた。日本の住居、什器の融通無碍に改めて驚かされる。