一月二十九日(日)晴
岳母の社中の初釜二日目なれば十時過ぎに行く。余は袴を着け、義妹は帯を直すなどするうち生徒四人程集まり、十一時半頃より開始。亭主岳母、正客N子、次客が余で後生徒四人と義妹が入り、濃茶から始まり茶懐石となり、薄茶まで三時間程、とにかく美味しいものの連続である。料理を準備せし岳母並びにI先生の丹精と苦労の程が慮られ、感謝に堪へず。茶席と懐石の献立は下記の通り。
濃茶 茶 清祥の昔 あいや
菓 花びら餅 若柳懐石
向付 鯛の昆布締め
味噌汁 里芋 からし
煮物椀 蟹真蒸 莢豌豆 手鞠麩 しめじ
焼魚 鰤の照焼
煮もの 湯葉 筍 椎茸肉詰め 花麩 牛蒡と人参の干瓢巻
和へ物 百合根 蓮根 胡瓜 水前寺海苔の梅肉和へ
黒豆 きんとん なます
箸洗 つくばね 昆布茶
八寸 からすみ 百合根
香のもの 赤蕪 沢庵 野沢菜薄茶 茶 最萌の香り あいや
菓 干菓子 鍵善
献立は岳母の求めに応じ余が毛筆で和紙に認めたところ土曜の席で称賛されたと義妹より聞き気をよくし、土曜の晩に義妹の長男が中学受験なれば激励の為色紙に「心願成就」と揮毫して此の日与ふるに義妹喜び「家宝にします」とは大袈裟にて、汗顔の至りなるも此処に掲載す。