松の風

二月十八日(土)
八時起床。朝食入浴の後九時より一時間半嶺庵にて尺八練習。松風を五回ほど。録音するに丁度七分にてテンポは悪くなささうである。其の後読書。十二時前家を出で電車で成瀬に往く。岳父とN子が車で迎へに来てくれ、N子の実家に行く。着くと午前中稽古を終へたる女性の生徒二人が食事中で余も加はり昼食をとる。就職したてと学生の二人にて尺八の話題を出すに聞きたしと云ふので食後和室にて、大和樂、松風、無住心曲、布袋軒三谷を吹く。物珍しげなるも、茶道をやるほどの者なればにや、興味を持ちたる様子也。其の後余が岳母より茶道の稽古を受け、四時半過ぎ今度はつくし野に送られ、田園都市線経由九段下乗換で早稲田で降り、徒歩一如庵に至る。神先生と歓談するうち如覚到着し、松風を四回と、布袋軒三谷、流し鈴慕を吹く。本手と曙調子の連管は、先々週はどうなることかと思つたが、今回は曲がりなりにも曲らしくなつて来た。稽古終り再び日本酒が饗され、古美術の話などをする。如覚はどうやら壺か花瓶を物色してゐるやうである。今回は酒量を控へ、神先生も風邪気味との事なれば九時前辞して、如覚と駅前の支那蕎麦屋に入り、余はやはりつけ麺を食す。其の後大手町まで如覚と同道し、横須賀線経由で帰宅す。よく竹を吹いた一日であつた。