多忙

十月二十八日(日)雨
午前、車にて出掛けガソリンを入れ灯油を買ひクリーニング屋に行つて夏物を出し食料品日用雑貨の買物の後歸宅。屋根裏から毛布、ストーヴ類を出し扇風機等を仕舞ふ。更に嶺庵にて書畫の軸を掛ける為の吊り具を取り付け、季節外れなるも象山の書を掛ける。晝食の後嶺庵に籠り墨を磨り揮毫。友人の子息が來年中學受験なれば「心願成就」と書き、又茶の師である岳母に「和敬」の色紙を書く。初めて冽仙の落款印を押す。印泥石泉箭簇の朱色鮮やかなり。其れだけで夕刻に到り、尺八の練習を小一時間の後入浴。其の後夕食、糠鰊を食す。絶品にて旨き事余の生涯食せし最高の美味の一つに數ふ。

小間には存在感のあり過ぎる象山の書。