書と小唄 

十月二十九日(月)晴
雨の後にて空澄み切つて青く清清しき朝なり。通勤時大船まで三十分歩く。定時退社、歸宅後直ぐに夕餉を摂り、家人と車で出掛け鎌倉の原山先生宅に向ふ。家人の書道の先生である。最初小唄についての話を伺ふ。先生は亡き御母堂が小唄を教へてをられたのと、先生ご自身も嗜むとの事なれば、余の邦楽探究の一環として小唄を知らんとするものなり。ただし、此の話あつて先生が三挺ある三味線を久しぶりに取り出した処すべて胴の皮が破れてゐたといふ。それでカセツトテープにて小唄の録音を聴くことにするもテープか再生機の不調により音が出ず。已む無く念の為テープを借り受けることとなる。其の後持参せし張廉卿千字文を開き書法上の疑義について訊ね教示を受く。書道教室生徒でもない余に自ら筆を執つて示さる。厚意謝すべし。さらに宮島詠士先生の書の軸装について相談し、先生知り合ひの表具師に頼んで貰ふこととす。雑談の後九時半過ぎ辞して歸宅。早速テープを家の再生機にかけると鳴つたのでテープの不具合ではないやうだ。入浴の後十一時過ぎ就寝。