献奏大會

十一月二十三日(土)晴
晝過ぎ新宿區牛込原町の法身寺に赴く。第三十二囘虚無僧追善供養尺八献奏大會に遅れて参加。丁度如覚が布袋軒三谷を吹いてゐる処であつた。その後各参加者の演奏を聴く。流派や傳承者の違ひに依り様々な吹き方があるものだと毎囘驚く。それでも曲想の良いものや音味(ねあじ)の好いもの、さらに音がよく出てゐる曲はやはり聞き惚れる。如道會は最後に布袋軒鈴慕を吹く。六時より懇親會にも参加。隣席は茨城の石鳳會の方で、自ら製管もされるといふ。竹取りの秘訣や必要な道具について色々話を聞く。興味深し。竹を採るのは今の時期が一番良いといふ。冬に備へて竹が水分を吸い上げなくなり、乾き具合が丁度良いのだといふ。竹の中に水分が多いまま冬になつて凍ると竹が割れてしまふ。さうならないために竹はみずから水分調整を行ふらしい。余もまう少し違つた音味の尺八や丈の異なる竹は欲しいが、とても自分で作れるとは思へないし、安いものではないからさう簡単には買へない。ネツトのオークシヨンでは安いのも出るが大抵唄口が欠けてゐたり、本體に罅が入つてゐたりで、それを修理に出すと結局それなりに費用が嵩む。ところが自ら製管するくらゐだから、さういふ壊れものを安く買つて自分で直してしまふのだといふ。羨ましい限りである。風邪氣味なれば早々に辞して歸る。