風邪氣味

十一月十八日(火)晴
會社の同僚で余が可愛がつてゐる女の子にAちやんといふ若い娘が居る。二十代半ばで、色白で綺麗な顔だちをしてゐるのに、變に可愛い子ぶらない処が氣に入つてゐて、一緒に仕事をするのが樂しいのである。其のAちやんが昨日寒気がすると言つて午後から早退して歸つてしまつた。風邪氣味なのであらうが心配である。其の日の夜に寝て見た夢に、Aちやんは夕方になつて元氣になつて再び出社して來た。何か憑き物でも落ちたやうな晴れやかな表情をしてゐて其れが實に美しい。具合が良くなつたんだねと聲を掛けるとニツコリと微笑む。ところが良く見ると下着が丸見えである。最初白いものを見て目を逸らしたが、再び見るとスカートがシースルーで太腿や下半身が透けて見えるのである。極めて小さな、オレンヂ色をしたパンテイであつた。上着の同色のジヤケツトに合せてゐるのだなと思つたのを覚えてゐる。健康的な伸びやかな肢體は魅力的であつた。余は娘のやうなAちやんに欲情を抱く訳ではないのだが、其れにも拘はらず、かういふ夢を見るのである。