京都三日目

三月七日(月)晴
氣温の上がる豫報が出てゐたので鞄と外套を宿に預けて軽装にて九時前外に出る。近くのカフエにてモーニングを食するも珈琲薄くてまずし。地下鐡で北大路に行き、バスで大徳寺に向かふ。初老の女性二人連れ観光客の傍若無人の振る舞ひに呆れる。冬の京都で特別公開中の本坊を拝觀。傳遠州作の七五三の庭は岩組の展示場の如き觀があつて、餘り上品なものではない。それから再び北大路驛まで歩く。十一時にH氏と待合せ、タクシーにて京料理の店下鴨福助に行き晝食。蕪蒸し旨し。結局Hさんにご馳走になる。厚意有難し。其れから徒歩洛北高校に赴き同窓會事務所を訪ねる。多忙のHさんは常任理事のM氏に余を紹介した後去り、余は同窓會報などを閲覧するが、楠香在學中の号は欠落してをり、また其の後の号に楠香が執筆した記事等を見い出すことは出來なかつた。ただ、同じく京都一中に進んだ弟三人の就職先や東京での住所を知ることが出來た。三時過ぎ辞して下賀茂神社まで歩き、特別公開中の大炊殿を拝觀。糺の森を通つて葵橋からバスで河原町三條に出る。古本屋を何軒か見た後三條通りを西進してホテルに戻り、荷物を受け取つてから京都驛に出で、新幹線にて歸濱。九時半前歸着。