金属赤児

四月二十六日(火)晴
何度も此処で書いてゐるが、余はAKBとかSKEとかいつた地名を使つた若い女の子のグループに興味はない。と言ふより嫌ひで憎んでゐると言つてもよい。女といふものは、其れがたとへ少女であつても群れると生來の心根の醜さが増幅されるし、そもそもさうしたグループに余の好みに適ふ可愛い女の子がゐない。ヤンキースの田中投手の好きなももくろなるグループも、可愛い娘はひとりもゐないし何がいいのかさつぱり分からない。少し古いがパフユームに到つたては余りの不細工揃ひに元パフユーマーとして怒りすら感じる。そんな余ではあるが、今日ユーチユーブでベィビーメタルなるユニツトを見て、大いに氣に入つた。とにかくマーケテイング力と狙ひすましたプロデユーシングによる、小学生にしか見えない女の子たちによるヘビーメタルロツクの唄とダンスといふミスマツチと明確なコンセプトが秀逸で、やられたと脱帽するより他はない。可愛いからこそ格好よく見える世界觀があり得る事に氣付かせてくれたと言ふか、日本の若いアイドルの女の子が、かうした文脈で見事に格好よく踊つてゐることに民族主義的な誇りさへ感じるのである。日本好きな「ガイジン」をターゲツトにしたあざとさはあるものの、今までにないものを見られた感動は大きいし、歌詞や振付や衣装、そしてロゴや決めポーズの「丁度良い」トンガリ感は、本格的なヘビメタサウンドを聞かせるバツクバンドの技量と相俟つて、秀逸なアイデアとそれを活かすプロデユース能力の高さを示してゐて、元々音樂フアンでも何でもない余のやうな人間には、もうとにかくニヤニヤさせてくれる非の打ちどころのないエンターテイメントないし興行である。三人組といふのも、實は余が好むユニツトかも知れない。實は今日明後日より産休に入る余が會社で史上最も寵愛したSちやんと、他二名の女性とで彼女の休職前のランチ會を開いたのだが、この三人とは彼女達が新人時代に一緒に余が研修を擔當して以來ずつと三人一組で仲良くして來たし、昨年の新人のお氣に入りも三人組であつた。古くはキヤンデイーズ世代に屬する余にとりて、三人組の女の子たちといふのは、各々個性の違ひが際だつて飽きが來ない上に、同時に一緒にゐても一人の男性が對應出來る最大人數ではないかとも思ふのである。これが二人だと女性同士の結合力が強すぎるし、四人になると大抵の男性は其処の會話に入つて行きにくい。三人だと、うち二人が喋つてゐても殘りの一人が男性と話をしてくれるので自然と皆の會話も彈むのである。五人以上になるともううるさ過ぎてうんざりするに決まつてゐる。まあ、ベイビィメタルのメンバー三人とお話をすることはないだらうし、實際したいとも思はないが、とにかく三人組であつたこともポイントの高い理由のひとつではあるだらう。暫くの間彼女達の活躍を注目して行きたいと思つてゐる。
ちなみに、このユニツトの存在を知つたのは、昨日開かれた新しい職場での余の歓迎會の席でである。他は大して面白くもない會であつたが、ベィビーメタルを知れたのは大きな収穫であつた。