リフォーム

十一月三十日(水)陰後晴後雨
道路の向こうに団地が何棟も聳えていて、自分の会社の人間がそれぞれ手分けして団地の各部屋のリフォームを手掛けることになった。ボランティアだという。わたしは歩くのも困難でいざりの姿で何とか道を渡り、さらに岩石だらけの坂道を苦しみながらやっと団地のひとつに辿り着く。エレベーターで四階に行き、近くの玄関のベルを押すと、急に中の明かりが消え、他の部屋も次々と明かりを消してあからさまな居留守を使う様子である。ボランティアで来ているのに嫌がられているのかという失望よりも、何か恐ろしいものを感じて、どこでもいいから自分を受け入れてくれる家はないものかと思う。ちょうど若い女性が帰宅したところなので、一緒に入ってもいいかと訊ねるといいというので、ほっとして倶に中に入る。中はワンルームで壁いっぱいに派手な色のサイケデリックな装飾品がある。わたしは彼女がリフォームを受け入れるか一瞬心配になる。彼女はマッサージの仕事をしていると言うが、すぐにわたしは店長殺しの犯人だと気づき、このままここにいたら自分も殺されると思い焦りはじめる。