乗り遅れ

十二月朔日(木)
会社の慰安旅行に出掛けるためバスで空港に向かっている。となりには過去に関係のあった女がたまたま座っている。空港に着いたところで、ふとパスポートを持って来たか不安になり、荷物を開けてみるとチケットもない。それにどの航空会社乗るかも聞いていなかったことに気づく。わたしは慌てて携帯電話で連絡をとろうとするが、携帯だと思っていたものがリモコンだったり、やっと見つけた電話から電話帳が削除されていたりでらちがあかない。それまで一緒に居た女もしびれを切らしてどこかに行ってしまう。携帯をさがすのにトランクや鞄の中味を道路上にぶちまけていたので途方に暮れる。すると、また別の会社の女性がやって来て、こことは違うターミナルだから急いで行くようにと言われ、一緒に歩いて行く。ぬかるんだ田舎道を越え、線路に沿った坂道を上って行くと行き止まりである。それまでに費やした時間からして、もうどうやっても間に合わないと思う。一緒に来てくれた女性の網タイツがふと目に入り、ああ、きっとこの女とも関係してしまうのだろうなと感じ始めていた。