ふたりの女

十二月十三日(火)陰
トラックの荷台に車を載せる順番待ちをしている。先にベンツが入り、次は私の車の番なのだが、荷台に対して真っ直ぐの位置になかったため、切り返して位置を変えることにした。ところが、バックしたとたんブレーキが効かなくなっていくらブレーキを踏んでもジリジリと下がり続ける。前進するとブレーキがかかるので、バックの時だけの故障のようだ。そこでディーラーに行って直してもらうことにする。途中側道から飛び出して来る車を避けたり、一方通行なのに逆走して来る車がいたりと難儀しながらも、途中で新幹線に乗り換えて山形に着く。そこには私が会いに通い続けている女がいるのだ。待っていたのは長澤まさみで、私は彼女とすぐにキスをする。それから背中に手を回すと、彼女が今日はお腹が痛いから次にして欲しいと言う。塩らしく言ってはいるが、この手は二度目である。はぐらかされているのかなと思っていると、目の前にいた別の女性と目が合った。長谷川京子である。彼女は長澤はいつもこの手を使うのだというようなことを目と表情で私に伝える。私もわかっているよとしかめ面をしてみせ、長澤まさみを抱きしめながら、長谷川京子の手を握ろうとするが振りほどかれる。やがて私はふたりの女を置いて、ひとりでホテルのロビーを抜けて庭園に出る。石垣のような斜面を登り始めると、それがロッククライミングの練習場であることがわかり、私はロープに吊られて宙ぶらりんとなって、どうしたものかと困惑している。