真宗

七月二日(日)陰
井上鋭夫著『本願寺』読了。本願寺の坊官下間(しもつま)家のことを調べていて浄土真宗本願寺に改めて興味を持ち、まずは概要を知ろうと思い立って読み始めたのだが、予想外に読みごたえがあった。名著と言うべきだろう。そこで、千夜千冊で取りあげていないかと調べると、同じ著者の『山の民・川の民』について書かれていた。惜しくも五十歳で早逝した気鋭の学者であったことが分かる。親鸞蓮如に関してもやはり興味は出て来るし、石山合戦での下間衆の働きももっと知りたい。もっとも、明治になって門跡が廃止されるとともに坊官の制度もなくなり、下間家もそれから苦難の時代を迎えたらしい。特に甲斐庄楠音の父正秀の出た少進家は没落が激しく、今や子孫は九十過ぎの痴呆症の老婆が残るのみという。来週、下間刑部卿家の子孫の方に、その辺りのことを含め話を聞きに京都に行ってくるつもりである。