スポーツと暴力

九月三日(月)
落合博満さんが中日の監督時代にチームから暴力を一掃するのに五年かかったという話をした旨の報道に接して、改めてこの稀代のプレーヤーの、ぶれのない言動に感服した。それにつけても世間的には暴力奨励派の最右翼だった星野仙一の人気が高く、名監督のように言われていることに私はこの国の国民性の暗黒部を見る思いがする。根性論の「闘将」が勝利への執念のために選手に暴力を振るい、それに応えて選手も活躍するなどという嘘くさい「物語」にいまだに酔い痴れているとしたら、パワハラの横行するスポーツ界を支えているのはそうした国民的心性に違いないのである。そしてまた、組織の論理に異を唱えて孤立することも少なくなかったと思われる落合さんの、それでも屈せず自分の正しいと信ずることを実行に移して行くことの偉大さを痛感させられる。スポーツ界のパワハラは少年野球チームの監督コーチに始まって、あらゆる階層に蔓延しているに違いない。それを上から、大きな組織のトップから変えようとしても、落合さんが言うようにそうそう変わるものではない。むしろ、小さなところから、パワハラ監督のいる少年野球チームへの不参加や異議申し立てから始めるべきであろう。鈴木大地だか大海だかしらないが、そんな奴より落合さんにスポーツ庁の長官にでもなって貰いたいものだが、まあ実現しないだろうな。